形状記憶合金の動作の様子です。変形後に温水に入れると形が戻ります。これが形状記憶特性です。
形状回復の後、素子の温度が高い状態では常に形状をもとに戻そうとします。これは超弾性と呼ばれ、通常の金属のバネ変形よりはるかに大きな変形量を示します。
素子の温度が低下すると、最初の状態に戻り、形状記憶特性となります。
形状記憶合金の動作の様子
一般的な金属は弾性変形領域を超えた変形をさせると元に戻りませんが、形状記憶合金は動画のように加熱により元の形状に戻るという特性を持っています。
形状記憶合金の中でもTi-Ni(チタン-ニッケル)合金は大きな変形量を示し、形状を回復する際に大きな回復力を発生します。また形状を回復する温度は室温付近で比較的自由に設定できます。
そのため現在メガネのフレーム、携帯電話のアンテナなどの民生品だけでなく、発電所の配管継手や新幹線のブレーキ関連部品などの工業・インフラ分野にも応用されています。
形状記憶合金による
血管拡張用ステント
またこのTi-Ni系形状記憶合金は生体適合性、耐摩耗性、耐腐食性にも優れているため、コレステロールなどにより閉塞してしまった血管を拡張するステントや、歯列矯正ワイヤー、カテーテルなどの医療機器にも広く応用がなされています。
さらに近年、上記のTi-Ni系合金とは異なる、Cu(銅)合金系やFe(鉄)合金系でも実用可能な形状記憶合金が見出されており、さらなる用途拡大が期待されています。
形状記憶合金について、より詳しい解説および詳細データなどをご所望の方は、こちらに紹介します日刊工業新聞社「トコトンやさいし形状記憶合金の本」、もくしは下記リンクをご参照ください。
(外部リンク)
・形状記憶合金の解説
・形状記憶合金の技術情報